社内のシステム管理をしていると、日々いろんなトラブルやヘルプの声が聞こえてきます。そんな中で、あまり見かけないトラブルに遭遇しました。
今回発生したトラブルは、「朝、いつものようにPCの電源を入れたら、ネットワークに一切つながらない」というもの。
ネットワークのトラブルシューティングを実行してみると、「イーサネットには有効なIP構成がありません」というエラーが表示され、解決されません。
設定やドライバ、ネットワークまわりなどいろいろ調べてみたところ、意外なところに原因があったので、今後のためにもメモメモ。
ちなみに、今回は有線LANでの事例ですが、おそらく無線LAN(Wi-Fi)でも同様のトラブルが発生する場合があると思われます。
最初に確認するところ
「イーサネットには有効なIP構成がありません」というエラーが発生した場合に考えられるのは、IPアドレスが取得できない、という状態。何らかの原因でDHCPサーバにつながらないか、DHCPサーバからIPアドレスが発行できない…つまり、発行できるIPアドレスが枯渇している可能性。
このエラーが発生したとき、PCに固定IPアドレスを設定してみてつながるようなら、十中八九、IPアドレスの枯渇です。
そこで確認したいのが、DHCPサーバのIPアドレスのリース時間。
最大リース時間が原因?
社内では、VPNルータのDHCPサーバを使用してIPアドレスを割り振っていました。
このエラーが発生している状況で、管理画面からIPアドレスの空きを確認したところ、0/90。つまり、自動割当用IPアドレスが90個用意されているのに、空きがひとつも無かったのです。
しかし、実際にIP自動取得に設定している機器は、社用スマホやタブレットも含めれば70台弱。どう考えても不足する訳がない状況です。
ルータの設定を眺めていて気になったのが、IPアドレスの「標準リース時間」と「最大リース時間」という設定。デフォルトでは、どちらも72時間で指定されているはずですが…。
「標準リース時間」は96時間。
「最大リース時間」は無制限。
VPNも含め、外部の業者に設定を依頼していたのですが、どうやら業者側でこのリース時間の設定も変更していた模様。
使用しているルータ「YAMAHA RTX830」の場合、「標準リース時間」というのはDHCPクライアントからリース時間の要求がなかった場合に適用される時間、「最大リース時間」というのはDHCPクライアントからリース時間の要求があった場合に適用される許容最大時間、だそうです。
仮に70台弱が全て「リース時間の要求があった」場合、70個弱のIPアドレスが無期限で設定されてしまうため、リースされっぱなし(占有状態)になりますね。そこへ、PC買い替えや、スマホ・タブレットなどの機種変更があったら。
リース情報をリセットしない限り、使わなくなった機器分のIPアドレスがずっとリースされたままになるので、いずれ空きIPアドレスがなくなってしまう、という状況になるのです。
解決方法
IPアドレスが変動してしまっては困る機器は、すでに固定IPで運用しているので、例えば以下のように設定すれば、使われないIPアドレスが定期的に解放されるようになります。
「標準リース時間」は24時間。
「最大リース時間」は72時間。
この場合、リース時間の要求がなければ24時間、リース時間の要求があっても72時間、該当機器からの接続がなければ、IPアドレスのリースが解放されます。
あまり短い時間を指定して、頻繁に解放させてしまうのも良くないと思いますが、「無制限」にしてしまうのはちょっと問題アリ、かなぁ。
さいごに
システム管理しているなら、ルータの設定内容くらい把握しておけよ!と言われればグウの音も出ません。いくら業者に任せているとはいえ、確認を怠ってしまったツケですね。
もちろん、同様のエラーが発生したからと言って、今回のような事例ではない場合もあるかもしれません。あくまで一例、ということで。
ちなみに、ルータの設定を変更することができない場合は、電源OFF/ONすることでリース情報のリセットができると思いますので、試す価値はありそうです。ただし自己責任ですよ!
コメント