普段、外出するときやどこかへ移動するときは、必ずスマホがポケットに入っているか確認するのに、なぜかこの日に限ってその確認をしていなかった。気付いたときには、いなくなっていたんです。スマホが。
いつものように子どもの保育園バス送迎メールを見たので、少なくとも夕方に会社にはあったはず。もし落とすとすれば、会社で靴を履き替えるとき、車に乗るとき、あとは帰宅途中で寄ったスーパー。そして自宅のどこか。
今や自分だけでなく、他人の個人情報すらスマホで管理する時代。「失くしちゃった!」では済まないのです。
スマホを紛失したときにとる行動
まずは他のケータイや固定電話などから電話をかけてみる。コール音がすれば電波のある場所にあるし、近くにあれば着信音が聴こえるし、落としたとすれば誰かが気付いてお店や警察などに届けてくれるかも。
ほとんどの方はこんな行動をすると思いますが、でもこれ、やらない方がいいです。
端末にパスワードロックなどをかけていればまだいいですが、ロックをかけていない場合、拾った人がスマホを自由に使えてしまいます。もし失くしたスマホが悪意ある人の手にある場合、簡単にデータを盗まれてしまいます。
もし仮にロックをかけていたとしても、スマホの機種によってはパソコンにつなげばデータが見えたり、SDカードは抜かれてしまえばいくらでも自由に使えてしまいます。
ではどうしたらいいか。
最初に行なっておきたいのは、遠隔端末ロックをかけること。そして、GPSの位置情報でスマホがどこにあるのかを把握することです。
失くしたスマホを遠隔操作する
Androidスマホは、基本的にGoogleアカウントを設定して使います。なので、失くしたスマホに設定しているGoogleアカウントを使って、遠隔操作が行なえます。
まず、他のスマホやタブレット・パソコンなどから、Google端末を探す、というページにアクセス。
失くしたスマホに設定しているGoogleアカウントでログインすると、自動で失くしたスマホのGPS位置情報を拾って、マップ上に表示してくれます。
遠隔ロックをかける
画面に表示されているスマホの機種名を確認し、遠隔ロックを設定します。
「端末を保護」をクリック(タップ)すると、失くしたスマホに端末ロックをかけていなかった場合に、パスワードやPINコードによる端末ロックがかけられます。できるだけ解かれにくいパスワードを設定しておきましょう。
端末ロックをかけている場合、もしくは上記設定を行った後、続いて画面に表示するメッセージが入力できます。メッセージを入力するところに、例えば「紛失したスマホです。最寄りの警察へ届けてください。」などのメッセージを設定すると、失くしたスマホの画面に表示されます。
その下の電話番号を入力する欄に電話番号を入力すると、失くしたスマホの画面に電話をかけるボタンが表示され、そのボタンをタップすることで失くしたスマホから電話をかけてもらえます。
メッセージも電話番号も、失くしたスマホに電波が届く限りは何度も設定し直すことができますので、頻繁に更新してみてもいいかも。
ちなみに、すでに失くしたスマホでパターン・PIN・パスワード等で端末ロックをかけている場合は、新たに端末ロックを設定することはできないようです。でも、遠隔ロックは端末ロックとは別なので、すでに端末ロックをかけていても、遠隔ロックは設定しましょう。
着信音を鳴らす
表示された位置情報を頼りに、失くしたスマホの近くまで行くことができたら、着信音を鳴らしてみましょう。マナーモードになっていても、サイレントモードになっていても、「着信音を鳴らす」をクリック(タップ)すると、5分間最大音量で着信音を鳴らしてくれます。
端末の電源ボタンを押さない限り5分間鳴り続けますので、鳴らしながら付近を探すこともできます。
データの消去を行う
最後の手段…と言いたいところですが、実際には一番最初の手段であり唯一の手段かもしれません。
仕事でも使っているスマホを失くした場合は、躊躇せずこちらを実行した方がいいです。特に個人のお客様情報が入っていたりすると、情報漏えいにもつながりますので。
個人的なスマホだったとしても、友人・知人の情報や、SNS、プライベートな写真などが拡散される恐れもありますので、できればデータ消去が無難でしょう。
ただし、データ消去を行ってしまうと、その後GPSでの追跡はできなくなります。各ケータイキャリアが用意している検索サービスなどに頼るしか、探す手段はなくなります。
また、機種にもよりますが、基本的にSDカードの中身までは消去されないので、SDカードに重要なデータがある場合は、電池や電波がある限りGPSで位置情報を確認し続けた方がいいかもしれません。
失くしたスマホが遠隔操作できない場合
Google端末を探すサイトで失くしたスマホがマップに表示されない場合、以下の可能性があります。
失くしたスマホが圏外もしくはモバイル/Wi-Fi通信がオフ
失くしたスマホのGPSがオフ
失くしたスマホの「端末を探す」設定がオフ
失くしたスマホがGoogleアカウントにログインしていない
マップ上に表示されない場合は、通信キャリアが提供している位置検索サービス等で見つけられる可能性があるので、確認してみましょう。今回失くしたスマホはイオンモバイルだったので、イオンスマホセキュリティ(月額150円)に入っていれば位置検索サービスを利用できるようです。
主な携帯各社別、紛失・盗難時の位置検索サービスオプション
AEON MOBILE:イオンスマホセキュリティ
docomo:ケータイお探しサービス
au:位置検索サポート
SoftBank:紛失ケータイ捜索サービス
楽天モバイル:スマートフォンセキュリティ
UQモバイル:セキュリティサービス
Y!mobile:紛失ケータイ捜索サービス
IIJmio:マカフィーモバイルセキュリティ
例えばドコモの場合は、スマホの電池が切れていても電池が切れる直前の位置がセンターに記録されるため、見つかる可能性が高くなります。また、失くしたスマホのGPSを自動でONにすることもできるため、Google端末を探すサイトでマップに表示できるようになる可能性も高いです。
詳しくは各キャリアのサイトで確認してください。
スマホが手元に戻ってくるまで
実際に自分がスマホを紛失し、手元に戻ってくるまでの流れを時系列でご紹介します。
やって良いことと悪いことが混在しているので、同じような行動はくれぐれもしないでください。特に今の御時世、単身の突撃は危険です。
スマホを失くした初日
夜、スマホでメールチェックをしようと思ってポケットに手を入れたら、無い。着替えるときに棚の上に置きっぱなしにしてあるのかと思い、脱衣所に行ってみたけど、やっぱり無い。カバンにも無い。会社に置き忘れたかと思い、会社へ行き自分のデスクを探してみたけど無い。下駄箱にも駐車場にも落ちていない。
一旦家に帰り、Google端末を探すサイトにアクセスし、スマホの位置情報を取得してみる。会社の近所だけど、行ったことのない場所が表示される。
遠隔ロックを設定したあと、とりあえずその場所に行ってみた。他のスマホから電話をかけてみるけど、何の音も聴こえない。マナーモードになっていたはずだけど、バイブっぽい音も聴こえなかった。
もう一度現地で、他のスマホからGoogle端末を探すサイトにアクセスしてみると、間違いなく自分がいる場所にピンが立っている。「着信音を鳴らす」をタップしてみても、着信音らしき音は聴こえない。
どう探しても見つからないので、まずは警察へ行って紛失届を出すことにした。すぐ近くに交番があるので、そこで届け出。定期的に位置情報を確認しながらも、この日は時間も遅かったので諦めて就寝。この時点で失くしたスマホの電池残量75%。
スマホを失くして2日目
日が変わって改めて位置情報を確認すると、なぜか昨日さしていた場所から80mほど離れた民家の駐車場に移動していた。まさか紛失じゃなくて盗難?!位置情報のスクリーンショットを保存し、その民家を訪ねてみようかと思い、午前中だけ会社で仕事をして昼で早退。
民家へ突撃する前に、念のため、警察署の落とし物係へ行き事情を話して相談してみた。結果は予測した通り、今の状態では警察は動けないから、トラブルなどが起きてから連絡してください、とのこと。
警察署を後にし、位置情報で表示された民家の近くまで行ってもう一度別のスマホから位置情報を確認してみると、なぜか100mほど離れた別の場所にピンが移動。しかも目の前で一瞬のうちに。GPSの誤差にしては、移動範囲が広すぎる。
民家への突撃はやめて、「着信音を鳴らす」をタップし、周辺を歩いてみる。着信音らしき音は全く聴こえない。そのまま急いでピンが移動した先へ行ってみるも、そこでも着信音らしき音は聴こえない。
結局、ピンが表示された3箇所で何度も電話したり着信音を鳴らしたりしても、見つけることができなかった。
夕方、イオンモバイルの窓口へ行き相談してみるものの、SIMカードを止めて再発行はできるけど、通信ができなくなり端末の位置情報が取れなくなるため、SIM再発行はやめておいた。もし盗難だとしたら、すぐに電源を切ったりSIMカードを外して通信できなくするはずだから、現状盗難じゃない可能性が高い、という店員さんの見解に納得できたから。
確かに、電池の減り具合を見ていても、失くしたスマホが使われている感じはしない。むしろ放置されているような減り方。どこかで落として、拾ってくれた人が届け忘れているのか、それとも誰にも気付かれず放置されているのか。
一応、電池がもつギリギリまで様子を見て、残り10%を切ったらデータ消去してSIM再発行することにした。この時点で失くしたスマホの電池残量61%。
スマホを失くして3日目
朝から、定期的に失くしたスマホの位置情報を確認しつつ仕事。ピンがさした3つの地点を瞬時に行ったり来たりしている。これはもう、GPSが誤作動しているんじゃないかと諦めの境地。
そういえば、arrows M03はちょっと前のアップデートでものすごい不具合を起こした、ってイオンモバイルの店員さんから聞いた。人によって症状が違って、何もない人もいれば、とても使える状況ではないほどのトラブルになった人もいたんだとか。その中には、GPSの不具合もあったって。
あー、なんかもう絶望的。
…と思っていた矢先、失くしたスマホが見つかった!なんと会社にあった!早退した日、さんざん着信音を鳴らしていたのに!と思って話を聞いてみても、社内の人は誰も気付かなかったらしい。
とりあえず、3日目で無事発見となりました!
紛失中の不可解な位置情報の動きは…
無事手元に戻ってきたスマホの画面を見てみると「紛失したスマホです。最寄りの警察へ届けてください。」と表示されていました。遠隔ロックで3回目に入力したメッセージだったので、メッセージの更新はちゃんとされていたようです。
発見時、GPSでの位置情報は相変わらず別の場所にありましたが、Wi-Fiが異常になっていた(Wi-Fiの電波マークに「!」マークが表示されていた)ので一旦OFFにし、再度ONにしてみたら、位置情報が今いる場所になりました。
Wi-Fiが異常になっているとGPSがずれる、なんてことあるのだろうか。これは例のM03で大量発生した不具合のひとつ?この不具合っぽいおかしな症状のおかげで、さんざん振り回される結果となったのでした。
ちなみに、紛失中に表示されたGPSのピンの場所は、スマホが出てきた場所から約20m北の地点、約100m北西の地点、約150m北北西の地点、の3箇所。不定期にこの3箇所を転々と移動していました。
端末が見つかってWi-Fiに接続しなおしてからは、こういった不可解な移動はなくなり、正常に。Wi-Fiを切ってモバイル通信にしてみても、GPS位置がずれることはありませんでした。
失くしたスマホの状況に左右される
Google端末を探すサイトでは、スマホの電池残量も表示されますが、この残量表示は正確でした。スマホを発見したときの電池残量が55%でしたが、サイトで表示されていた電池残量も55%。
スマホが戻ってきてから、念のため「着信音を鳴らす」を試してみましたが、確かに最大音量で着信音が鳴りました。社内で誰も気付かなかったということは、紛失中は鳴っていなかった可能性がある。とすれば、なんで鳴らなかったんだろうか。電池残量が拾えていたし、メッセージの更新もできていたんだから、着信音を鳴らす指示も届いているはずなのに。
もしかしたら、ですが、通信状態が不安定で、サイトからの指示が正常に受けられていなかったこともあった、ということだろうか。そもそも、電波が届かなければサイトからは何もできないわけですし。
しかし、驚いたのはスマホの電池の持ち。
今回、スマホを紛失したことに気付いた日時から40時間ほどで発見できましたが、SIMフリースマホ arrows M03では、この間の電池の残量が78%→55%でした。温度条件や場所などにもよると思いますが、完全に放置されている状況であれば、3日間くらいは遠隔で探すことができそう。
さいごに
そもそも、今回は無事に見つかったので良かったですが、スマホは紛失や盗難に遭わないよう、十分な注意と対策が必要です。スマホは個人情報が詰まった情報機器です。もし悪意のある人の手に渡れば、何をされるかわかりません。
スマホでおさいふケータイを使っていたりクレジットカード情報を保存していれば、簡単に買い物されてしまいますし、銀行のアプリでログインできるようにしていれば、口座をいじることもできてしまいます。
SNSなどにもアクセスできてしまいますし、今はスマホで家のカギを開けられるような玄関ドアもあります。会社のセキュティキーにモバイルSUICAを設定していれば、社員になりますまして会社に入ることもできてしまいますね。
普段何気なく使っているスマホですが、あなたはきちんと管理できていますか?
初稿:2019年1月12日
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